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Channel: CCYブログ 2013
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私の名画ベスト10 (第10回)  昼下がりの情事

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『昼下がりの情事』   1957年   アメリカ
監督:ビリー・ワイルダー
出演:オードリー・ヘプバーン、ゲーリー・クーパー、モーリス・シュバリエ、ジョン・マッギバー
音楽:フランツ・ワックスマン
 
 
<ストーリー>
クロード・シャバッス(モーリス・シュバリエ)は不倫調査専門の私立探偵。今回もミスターX(ジョン・マッギバー)の依頼で彼の妻の素行調査。結果を聞きに来たミスターXは証拠写真を見せられ、妻の相手の大富豪フランク・フラナガン(ゲーリー・クーパー)を射殺すると息巻いて飛び出して行ってしまう。様子を盗み聞きしていた、好奇心旺盛のクロードの一人娘アリアーヌ(オードリー・ヘプバーン)はフラナガンの危機を救うため、ホテルに乗り込むが…。
 
 ついに、登場しました、オードリー・へプバーン。彼女との出会いは、高校時代にリバイバル公開されたばかりの本作品とアラン・ドロンの『太陽がいっぱい』の豪華二本立てを、今は無き、東横線白楽駅前の白鳥座に学校帰りに観に行った時でした。
オードリー・ヘプバーンといっても、ローマの休日で大ブレークしたやせっぽちの女優程度の知識しかなかったのですが、なぜか、この映画を観てすっかり参ってしまいました。一体何が良かったのか、今でもよくわかりませんが、まあ、気に入るということは、そんなものでしょう。
当然、ビデオもない時代ですから、あちこちの名画座での旧作の公開を追っかけたり、古本屋で彼女の特集記事が載っている「スクリーン」や「映画の友」などを買いあさったものです。
当時は、英語の勉強用と称して、名画の対訳シナリオがシリーズで発売されていました。当然、この映画のものも購入。確か左ページに英語、右ページに日本語の対訳になっていて、欄外には、難解単語や慣用句の解説が書かれていたように記憶しています。学校の英語はろくに勉強しなかったくせに、このシナリオはわざわざ単語帳まで作って勉強しました。それぞれのシナリオには別売で映画の一部のサウンドトラックのテープ(10分程度のオープンリールのテープでした。)があり、それも買い込んで、彼女の生の声がいつでも聞けると感激していました。
 
数ヶ月前、朝日新聞の土曜版の「beランキング」でオードリー・ヘプバーン映画の人気ランキングというのが掲載されていました。結果は予想通り、「ローマの休日」がダントツの1位。この映画は確か、7位か8位くらいだったような。彼女の映画の中では決してメジャーな作品では無いようですが、未だに私はこの映画が一番好きです。(ちなみに、私の彼女の映画第2位は「麗しのサブリナ」)。余談ですが先週の「beランキング」はヒッチコック映画の人気ランキングをやっていましたが、第1位は私のご推奨の「北北西に進路を取れ」でした。
 
実は、私は、共演のゲーリー・クーパーが外人男優では一番のお気に入りでした。ちょっぴりシャイで誠実で信念の人というイメージの彼が、名うてのプレーボーイを演じるというミスマッチと戦前のフランス映画界で二枚目スターとして圧倒的な人気を誇ったモーリス・シュバリエが好々爺然とした父親役を演ずるという配役の妙もこの映画の魅力の一つでしょう。ゲーリー・クーパーも出演時既に56歳。今の時代なら60代半ばくらいに相当するのでは。年を隠すため、逆光で撮ったり、ソフトフォーカスで紗をかけたりと苦労のあとがしのばれます。
 
監督のビリー・ワイルダーもコメディ映画を撮ったら抜群の冴えを見せる名監督。三谷幸喜氏が彼の大ファンなのも理解できます。(脚本もビリー・ワイルダーがタッチしていました)全編、何とも洒落て粋な会話が満載なのと、上品なギャグがちりばめられているのも魅力でした。
 
この映画、オードリー以外の女優が演じたら、もっと生々しくもいやらしい映画になっていたと思います。彼女だからこそおとぎ話チックで乙女チックな作品に仕上がったんでしょうねえ。当時の純情な高校生の私が素直に感情移入できたのもそのおかげかも。
 
初めて、フラナガン氏とデートして、ホテル・リッツの玄関で出立するフラナガン氏を見送るシーン
 
フ:カルティエがまだ開いていたら何でもプレゼントするんだが…。
ア:いいの。…これをくださる?
 
といって、彼女はフラナガン氏のスーツの襟に挿してあったカーネーションの花を抜き取り、翌日から自分の部屋で、コップに入れた花をうっとりと眺めているというめちゃめちゃ乙女チックなシーンにころりとやられました。
その後、スーツの襟に花を飾ることに異常なまでにあこがれ、学生時代にサークルのクリスマスパーティーにカーネーションの花を挿していったなんて、今思い出しても恥ずかしくなるようなことを平気でやってしまいました。
 
この映画の名脇役はジプシー楽団でしょう。フラナガン氏のお抱えのような役回りで、彼がデートをする場面で必ず登場して雰囲気を盛り上げる音楽を奏でています。どんな所にも出没し、最後はラストシーンにまで登場して笑いを誘ってくれます。彼らが演奏する曲の一つが「魅惑のワルツ」でこの映画の主題曲にもなっていますが、レコード店を何度も探し回ったものですが、なぜか、サウンドトラック版のレコードが存在していなかったようで残念な思いをしたものです。
 
それにしても、最近、オードリーと名乗るお笑いタレントがやたらにTVに出まくっていますが、自分の美しい思い出やイメージをぶち壊されているような気がして何とも不愉快です。何とかしてくれないもんかなあ。
 
 
全部で10本の映画のことを綴ってまいりましたが、振り返ってみると、自分が実にバランスのとれた多彩な好みをもっていること、博識であることなどなど、改めて感心しきりで自画自賛をしております。
 
by  MM59

 

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